管理人
「民間に出る前に、もう一度だけ、自分と向き合う夜があってもいいだろう?」
退官前夜──ここは、迷いと覚悟の狭間で灯る、もう一つの場所。

■火鉢薫(ひばち・かおる)──通称「ヒバチさん」
誰よりも静かに、誰よりも深く、
あなたの話に耳を傾ける。
肩書きも、経歴も、武勇伝も気にしない。
ただ、火鉢のそばで、黙って茶を淹れてくれる。
だが、不思議と話したくなる。
心の奥にしまっていた言葉が、ぽつりと漏れる。
それを否定も肯定もしない。
ただ、うなずき、目を見て、
「──いい夜だな」とだけ、言う。
“決意”がいる夜に、
“迷い”が顔を出す夜に、
“誰か”じゃなく“自分”と向き合いたい夜に、
この男がそっと火鉢に炭を足してくれる。
名前も、名乗らないことのほうが多い。
だがこの場所に訪れた者たちは、
皆、こう呼ぶ──「ヒバチさん」。
『趣味』: 夜更けに炭の音を聞くこと/古い軍歌の口笛
『好きな言葉』:「焦るな、火が起きるには“静かさ”が要る」「迷ってるってことは、動き出してるってことだ」
『嫌いなもの』: 無理にポジティブになれと言う風潮/就職の「正解」だけを押し付ける人間
自衛官・消防士・警察官、名もなき守り手たちの「その後」をずっと見てきた。
うちは、夜だけ開く小さなバーさ。
看板なんて出してない。暖簾だけが、目印だ。
客はほとんどが訳ありさ。
肩の力が抜けた頃に、ふらっと入ってくる。
自衛官、消防士、警察官……
“何かを守ってきた男たち”が、静かに暖をとりにくる。
炭火の前で、ぽつりぽつりと話すんだよ。
誰にも言えなかった話を、こぼすようにね。
「……仕事は見つかったんですけど」
そう言いながら、ちっとも嬉しそうじゃない顔。
──そりゃそうだよな。
ただの“再就職”じゃ、片付かないんだよ。
それは、魂の“仕切り直し”だ。
いっぺん全部燃え尽きたあとに、もう一度、火を起こすようなもんだ。
無かったことにはできない。
「再就職しました」なんて軽い話じゃない。
俺は何人もの男たちが、
再起、再誕、そして、もう一度“誇りを持つ”姿を見てきた。
俺は何人もの男たちが、
炭火の前で静かに“再起”していく姿を見てきた。
たとえば──
「親父、最近かっこいいな」って、息子に言われたってよ。
こっそり嬉しそうだったなぁ、あの顔は。
「また昔みたいに堂々としてるね」って、
奥さんに茶化された男もいた。
けどその目は、泣きそうなくらい笑ってたよ。
「今の仕事、指揮系統は俺が組んでます」って、
ちょっと照れながら語った男もいたな。
そのとき、ただ仕事が決まったわけじゃない。
人生に“再び火が灯った”瞬間だった。
誇りを取り戻したんだ。
それは、軍服や防火服、制服を脱いでも、魂までは脱がない。
“あの頃の魂”を胸に残したまま、次の人生を選び取ったということ。
あんたにも、その火がある。
ただ、今は見えねぇだけだ。
──だったら、一緒に火鉢にあたりながら、探せばいい。
そう思って、
俺はこの火を、絶やさずに灯し続けてるんだ。
この火鉢の前で、ゆっくり温まっていけばいい。
火が見えてくるまで。
20年、30年と命令に従い、現場を生き抜いた男たちが──
ある日突然、“命令のない世界”に放り出される。
「これからは自由だ」って言われたって、
その自由にどう火をつけていいかわからねえ。
頭じゃなく、胸の奥が真っ白になる瞬間を、何度も見てきた。
誰も教えてくれなかった。
民間企業の空気も、
面接の言葉づかいも、
「やりたいことは何ですか?」って質問に、
どう答えたら“恥ずかしくない自分”でいられるのか、どう答えたら“自分にウソがないのか”─さえ、誰も教えてくれなかった。
でもな──
俺が見てきたのは、
そこから“もう一度、誇りを取り戻す男たち”だった。
何もかもゼロになったようで実はちがった。
彼らはゼロから再起動したわけじゃない。
長年積み上げてきた「無形の財産」に、
俺はただ“言葉”と“視点”をくれてやっただけだった。
するとどうだ?
「企業に入っても、全体の動きを俯瞰して指示出せるのがあんただけだ」
「部下の相談に乗れる上司なんて初めてだ」
「このチームは、あなたが来てから変わった」
そんな言葉を、彼らは民間の現場でも浴びるようになった。
そして、こう言うんだ。
「“誰かのために立っている”とまた感じられるようになった」
それこそが、“誇りを持つ”ってことじゃないか?
退官前夜──「命令なき任務、人生という名の作戦行動」
ここは、“退く”という名の、誰にも教わらなかった任務──その、第一夜だ。
「上からの命令がない。地図も、コンパスもない。だが──進まねばならない」
これまで、理不尽な状況も、過酷な現場も、黙って受け止めてきた。
迷っても、泣いても、任務は遂行してきた。
だがこの“退官”という選択だけは、
誰にも命令されない。
誰も責任を取ってくれない。
だからこそ、これは人生最大の「自主判断」なんだ。
ここは、彼ら、彼女らが、黙って火鉢に手をかざしていった場所。
• 周囲に退官の話などできない
• 誰に相談していいかもわからない
• だが、確実に“その日”は近づいている
このサイトには、派手な転職バナーもなければ、煽る成功例もない。
あるのは、
「まだ言葉にできない迷い」を
“前夜”という名の静かな時間で温める、火鉢のようなぬくもりだけ。
「行くべきか、留まるべきか」じゃない。
「どう生きるか」だ。
「これは、命令されない最後の作戦」
「誰も指示してくれない。でも、あなたならやれる」
「一度きりの人生」
「今夜くらいは、自分の人生を最優先にしよう」
なぜあなたは“今”ここに来たのか?
・「転職」は簡単な話じゃない
・自衛隊を辞めるってことは、人生の地図を書き直すってことだ。
・家族、将来、金、社会での居場所──全部がかかってくる。
・この夜は、ただの準備期間じゃない。“覚悟の夜”なんだ。
このサイトの目的=「辞めさせたい」んじゃない。「後悔させたくない」
無責任に「転職した方がいいですよ」なんて言わない。だが、自分と向き合う時間も持たずに辞めた奴は、あとで膝をつく。
ここは、その“膝”をつかせねぇための場所さ。